鋳鉄中の欠陥発生に溶湯中の金属化合物が大きくかかわっており、この金属化合物をいかに減少させるかが、品質向上のポイントとなります。
KS炉は鋳物の切削屑を原料とし、溶解時に金属化合物を精錬除去するものでしたが、本溶湯精錬炉は一般的な高周波炉等で溶解した後にアーク・スラグ処理により溶湯を再精錬し、金属化合物を除去しようとするものです。
この方法であれば原材料は切削屑のみでなく、一般に使用される銑鉄・鉄スクラップ・戻り材等のブロック状のものも使用できるため、原材料の制約がなくなります。また、溶解後に精錬のみを行うため、KS炉に比較し、大容量の処理が可能となり、自動車業界等大量生産を必要とする分野でも使用可能です。
<本開発は平成21年度サポイン事業(戦略的基盤高度化支援事業)として共同開発>
1.改善の手法”
2.開発目標とこれまでの成果
装置の開発と操業手法の確立
アーク炉を組み合わせた実機仕様・操業条件の検証を終了し、目標であるO<20ppm S<0.008%を達成できることを確認いたしました。
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金属化合物の低減により、湯流れが飛躍的に改善され、下図のようにその効果を確認いたしました。
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品質確認のための簡易的な現場判定法の開発
上述のように硫黄含有量と酸素量(全酸化物量)との経時的な挙動がよく一致しており、操業時の溶湯品質の管理指標として硫黄量をモニターすることにより、安定生産を維持することが可能となります。
3.今後の展開
湯流れがよく、巣が発生しにくいため、複雑で高価な製品への適用をめざしており、適用製品の探索・開拓を進めております。(例 : 耐熱用高シリコン球状黒鉛鋳鉄への適用等)
また、別項で述べておりますMn除去装置との組み合わせにより低品位・高Mnのスクラップを使用しても高品質製品を提供可能となりますため、これらを組み合わせたシステムを装置としても提案していきたいと考えております。