金属材料の基礎知識

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I 鋳造の基礎知識


1.鋳造とは
鋳造とは、砂等で製作した所要形状の空間を有した鋳型に溶けた金属を流し込んで、所要形状の製品を作ることを言います。
この方法で製作された製品を、鋳物と言います。


2.鋳造の種類と用途
鋳物は、使用される金属の種類によって次のように分けられ、様々な用途に使われています。
鋳造の種類と用途


3.鋳造作業の要素
(1)模型
所要形状の鋳型を作るためには、一般にはその形に近い模型から形を写し取ります。
① 模型材料
模型は使われる材料によって次のように分類されます。
1)木型
木を使った一般的な模型
2)金型
金属(鋳鉄、アルミ等)を使った量産用の模型
3)樹脂型
樹脂を使った量産用の模型(金型よりは寿命は短い)
② 模型についての基礎知識
1)鋳物尺
金属は凝固する際に収縮するのでその分だけ模型を大きく作る。
鋳物の場合は10/1000程度大きくする。
2)抜き勾配 模型を鋳型から取り出すために模型に勾配をつけておくがこれを抜き勾配と呼ぶ。一般的には、1/10~1/50程度の勾配をつける。
(2)造型(鋳型を作る作業)
① 鋳型材料
1)鋳物砂
一般的には、鋳型を作る骨材としては硅砂を使用する
2)粘結剤
砂を固めるために粘結剤を使用するが、その種類によって造型方法が次のように分類される。
粘結剤
3)添加剤 鋳型の崩壊性、通気性、耐熱性等を助けるためにいろいろな添加物が使用される。
炭素質、繊維質、糖類、木屑等
② 塗 形
耐火性、崩壊性、鋳肌の向上のため鋳型表面に黒鉛等を塗ることを塗型という。塗り易いように黒鉛、MgO等の塗型剤をアルコール等で希釈して塗る。
③ 鋳型各部の名称
湯口(溶けた金属を鋳型に流し込む入り口)、湯道、セキ、押湯、冷金、中子
鋳型各部の名称
(3)溶解(金属を溶かす作業)
① 溶解炉の種類
1)キューポラ
鋳鉄の溶湯(溶けた金属のこと)を作るのに使う。筒状の鋼板内に耐火物を貼ったもので、この中に鉄材とコークス(石炭の一種)を入れ下から風を送ってコークスの燃焼熱で溶かす。従来は鋳鉄を製造する場合はこの方法が一般的であったが、排ガスの問題等のため現在は誘導炉に替わって来ている。
キューポラ図
2)誘導炉
誘導炉は炉の周囲に巻き付けたコイルに交流電流を流し、中の金属材料に誘導電流を発生させて溶かすものである。交流電流の周波数によって高周波誘導炉、低周波誘導炉に区別される。鋳鉄のみでなく鋳鋼、銅鋳物等の溶解にも使用される。
誘導炉図
3)アーク炉
アーク炉は電極と金属材料の間に電圧をかけて、アークを発生させてその熱で溶解するものである。高温が得られるため鋳鋼、特殊鋼等溶融温度の高い金属の溶解に使われる。
アーク炉図
(4)型バラシ、仕上げ(バリ等を除去する作業)
① 型バラシ
鋳型に溶湯を注ぎ込んでできた製品を鋳型から取り出す作業の事。
② ショットブラスト
鋳型から取り出した製品の表面についている砂、塗型剤等を取り除くために金属の玉を鋳物にぶつけて鋳肌を良くすることを言う。
③ バリ取り
鋳物にあるバリ、湯道等を取除き製品にする事を言う。


4.鋳鉄
(1)成分
鋳鉄の成分は概ね下記の通りです。
鋳鉄の成分表
(2)組織
鋳鉄の組織は基地と黒鉛で構成されます。
① 基地
基地はフェライト(純鉄)、セメンタイト(硬い)、パーライト(セメンタイトとフェライトが層状になったもの)で構成される。
フェライトの多いものは軟らかく、パーライト、セメンタイトの多いものは硬い。
② 黒鉛
黒鉛の形状によって普通鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄に分類される。

(3)熱処理
鋳鉄の性状を改善するために熱処理を実施する事があるが、その目的と方法は概略の通りです。
① 歪取り焼鈍

② フェライト焼鈍

③ 焼入れ

II 各種金属材料の機械的性質比較

各種金属材料の機械的性質比較

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