1.無欠陥化の必要性
ダクタイル鋳鉄は強度、靭性が高く、鋳造品の特性を生かして複雑な形状を一体成型できることから多くの部品に使用されていますが内部欠陥が発生しやすくその信頼性の確保が大きな課題となっています。
内部欠陥は鋳造時に発見されず、後工程(機械加工、組立等)で発見されることが多くその場合は費用、納期ともに大きなロスが発生します。
また、製品として出荷後に発見され、クレームになることもあります。
無欠陥化が達成されればこれらの問題点が解決されトータルコストの低減、納期の短縮、信頼性の向上、省資源による環境負荷の低減等に大きく貢献できます。
2.無欠陥化の問題点とKS炉を使用したその解決方法
一般の溶解炉(キューポラ、誘導炉等)は溶解過程に精錬工程が無く、溶解をする毎に内部欠陥の原因となる酸化物等の不純物が生成、蓄積され溶湯性状が悪化し内部欠陥が出易くなります。
KS炉は溶解過程で精錬を行い内部欠陥の原因となる不純物を除去しますので、基本的に内部欠陥の出難い溶解方法です。
それに下記のように清浄度の判定、内部欠陥試料の確認、非破壊検査による確認を行い各工程で欠陥の発生をチェックすることで、内部欠陥の発生、流出を防止します。
3.内部欠陥の確認
(1) 溶湯清浄度の判定
炉前試験を実施し溶湯の段階で内部欠陥の発生程度を予測します。
(2) 内部欠陥試料の確認
注湯時に内部欠陥確認用試料を製品と同時に採取し切断して内部欠陥の発生状況を確認します。
(3) 製品の確認
最終製品について必要に応じて非破壊検査で内部欠陥の有無を確認します。
(1)、(2)についての詳しい内容は論文 「球状黒鉛鋳鉄の引け巣予測方法とアークプラズマ精錬によるその防止方法について」を参照してください。